今日はFst, Gst, Rst, Φst, Nst, G'st, Dの紹介.
集団間の遺伝的分化を表す有名な指標としてFstがある.
Fst=1-Hs/Ht
で表され,1に近いほど集団間の分化が見られ,0に近いほど集団の構成が似ていることを表す.
また,小集団と外部集団間では,
Fst=1/(4Nem+1)
で表される.(Ne; 有効集団サイズ, m; 世代あたり移入率)
Gst(Nei 1973)
F統計量をより多くの対立遺伝子を含む遺伝子座のデータも扱えるように拡張した遺伝子分化係数.
現在ではFstとほぼ同義の値.
Rst
対立遺伝子同士が独立ではなく連続性があるような場合(ステップワイズ突然変異モデル)の指標.
対立遺伝子の連続性とは,マイクロサテライトマーカーのような,1回の突然変異で反復数3から4になるが,反復数3から5になるには2回の突然変異が必要なケースである.
Φst(Excoffier et al., 1992)
AMOVAで用いられる.遺伝的多様性の大きさを集団内と集団間に階層的に分割する.
Nst
対立遺伝子間の遺伝的・系統的差異を評価する.
集団内の殆どの個体がヘテロ接合している場合,GstFstは集団間の遺伝的分化にかかわらず大きくなり得ない.
それを考慮したのが
Hedrick (2005)の
G'st=Gst(1+Hs)/(1-Hs)
と
Jost (2008)の
D=[(Ht-Hs)/(1-Hs)][n/(n-1)]
である.
参考
シリーズ現代の生態学
エコゲノミクス-遺伝子からみた適応-
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